【ドメイン深掘り・第2回】「http://」の前にある“スキーム”の意味 mailto・ftp・dataから、http/httpsの本質まで

webの仕組み

はじめに

URLの先頭には必ず「http://」や「https://」と書かれています。
普段は何気なく入力していますが、実はこの部分こそが 通信方法(スキーム:scheme) を示す「最重要パート」です。

本稿では、「スキームとは何か?」を理解しながら、
Webサイト運営で最も重要な httphttps の違いを、
ポート番号・暗号化・現代のWeb常識 の観点から掘り下げます。


スキームとは何か?

スキーム(scheme)は、URLの「最初の部分」で、通信の“約束事”を決めるものです。

スキーム://ホスト名/パス

たとえば:

  • https://hd0.biz/
  • ftp://ftp.example.com/
  • mailto:info@example.com
  • data:image/png;base64,...

この“:(コロン)”までがスキームです。
「どの方法で通信するか」をブラウザやアプリに伝えています。


主なスキームの種類

スキーム用途
httpWebページの転送(平文)http://example.com/
https暗号化通信でのWebアクセスhttps://hd0.biz/
ftpファイル転送ftp://ftp.example.com/
mailtoメール送信用リンクmailto:info@example.com
dataデータ埋め込みdata:text/html;base64,...
tel電話番号リンク(スマホ用)tel:+81-90-1234-5678

httpとは? 80番ポートで動く“平文通信”

http(HyperText Transfer Protocol)は、Web通信の基本形
ブラウザが「このページちょうだい」とサーバーにリクエストし、
サーバーが「はいどうぞ」とHTMLを返す仕組みです。

通信は通常、TCPポート80番 を使います。

http://example.com/
↓
TCP 80番ポートへ接続(暗号化なし)

この通信内容はそのままネットワーク上を流れるため、
途中で「盗み見・改ざん・なりすまし」が可能でした。
つまり 平文通信(プレーンテキスト) です。


httpsとは? 443番ポートで動く“暗号化通信”

https の “s” は secure の略。
HTTPの通信を SSL/TLSで暗号化したバージョン です。
利用ポートは 443番

https://hd0.biz/
↓
TCP 443番ポートへ接続(SSL/TLSハンドシェイク)
↓
暗号化通信でデータを送受信

通信内容は暗号化され、たとえ途中で傍受されても
内容を読み取ることはできません。

SSL証明書により、「このサイトは確かにhd0.bizですよ」 という
サーバーの身元確認(認証) も同時に行われます。


現代では「S付き(443)」が主流

昔は http(80番)が主流でしたが、
現在は ほぼすべてのWebサイトが https に移行 しています。

理由は:

  • Googleが「HTTPS対応をSEO評価に反映」
  • ブラウザが「http接続に“保護されていない通信”警告」を表示
  • 無料SSL証明書(Let’s Encrypt)の普及
  • HTTP/2・HTTP/3など新技術は基本的にHTTPS前提

もはや「Sなし」は過去の遺産。
Webの“デフォルト”は443番ポート の時代です。


スキームが変われば扱いも変わる

スキームは、単なる見た目ではなく、
ブラウザの動作を根本的に変える命令 でもあります。

例:

  • mailto: → メールアプリが起動
  • ftp: → ファイル転送クライアントが動作
  • data: → その場でデータを表示
  • https: → 暗号化されたWeb通信

つまり「URLをどう扱うか」は、スキームがすべてを決める のです。


そして「//」「www」問題へ……

ここまでで「http」「https」の違いと意味がわかりましたね。
では、なぜそのあとに “//” が付くのか?
なぜ昔は www.” が必ず付いていたのか?

その答えは、次回――

次回予告

第3回:「//って何?wwwの時代から今まで」
URL構造の歴史と、現代で“wwwなし”が主流になった理由を掘り下げます。

リンク

【ドメイン深掘り提案・第3回】「//って何?wwwの時代から今まで」URL構造とドメインの“右から左”の話

第1回「HTTPとHTTPSの違いを図解で理解」