
最近「SSL-VPN が 2026 年 5 月で廃止される」という話題を目にする方が増えています。
しかし実際には “SSL-VPN 全体が廃止される” のではなく、古い TLS / 旧認証方式を使うレガシー製品が動かなくなる、というのが正しい理解です。
1. 最近話題の「SSL-VPN 2026年問題」とは?
2026年5月以降、主要ブラウザやOSが TLS1.2 の旧互換モードを完全削除 します。これにより、下記のような現象が起こる可能性があります。
- 古い SSL-VPN 製品が TLS のハンドシェイクで失敗する
- ID/PW のみでログインする VPN がセキュリティ基準で禁止方向に
- ブラウザ経由の Clientless SSL-VPN(SoftEther含む)が動作不能に
このため「SSL-VPN が廃止」と誤解されがちですが、正確には“旧世代 SSL-VPN が終了”という話です。
2. 何がダメで、何が今後も使えるのか?(明確な線引き)
【廃止・非推奨になるもの】
- TLS1.0 / TLS1.1
- 古い TLS1.2(互換モード依存)
- ID/PWのみでログインする SSL-VPN
- SoftEther を含む Clientless SSL-VPN(ブラウザVPN)
【今後も使えるもの】
- TLS1.2(最新暗号)および TLS1.3 の新世代 SSL-VPN
- IPsec 全般(影響なし)
- SoftEther の L2TP/IPsec や IKEv2
今回の2026年問題の本質は「TLS の仕様変更」であり、IPsec は TLS を使わないため完全に対象外です。
3. なぜ IPsec は影響を受けないのか?
- IPsec は TLS を使用せず、独自の IKE + ESP 方式
- Windows / macOS / iOS / Android が標準で長期サポートするVPN方式
- 企業ネットワークや拠点間VPNの基盤として今後も残る
- SoftEther の IPsec / IKEv2 も影響なし
今回の仕様変更は「TLSの問題」であり、IPsecは無関係です。
4. IPsecでも注意すべき点(TLS問題とは別の話)
IPsec自体は安全ですが、暗号設定が古いと「別の意味」で危険になることがあります。
- IKEv1(XAuth/PSK)のみ → すでに非推奨
- 3DES / SHA1 / DH group2 / RSA1024 など古い暗号
- PSK が弱い、長期間変更していない
- NAT-TやMTUの設定ミスが放置されている
これらは TLS 問題とは別ですが、暗号基準の観点でアップデートが必要です。
5. 2026年以降も安心な VPN 構成(おすすめ順)
【最強】IKEv2 + EAP-TLS(証明書方式)
- 全OS対応
- パスワード不要
- 今後10年以上安全
【十分安全】L2TP/IPsec(PSK + ユーザ認証)
- SoftEther/YAMAHAで定番構成
- 小規模~中規模で安定
【一般的】IKEv2 + EAP-MSCHAPv2
- 導入が簡単
- 家庭~中小企業でも広く利用
6. SoftEther ユーザー向け補足
- SoftEther 独自の SSL-VPN(HTTPS-Tunnel)は旧TLS使用だと危険
- しかし L2TP/IPsec / IKEv2 はすべて安全
- SoftEther 5.x(TLS1.3対応)に更新すると更に安心
- SSL-VPN部分だけ使わず、IPsec/IKEv2へ一本化も有効
SoftEther 自体は死なないので心配不要です。
7. まとめ:SSL-VPNは“古いものから退場”、IPsecは今後も主流
- 「SSL-VPNが2026年に廃止」は誤解
- 正しくは“旧世代 SSL-VPN が使えなくなる”という話
- IPsec は TLS 非依存なので影響なし
- 拠点間VPN・リモートVPNともIPsecは今後も安定
- 必要なのは暗号スイートのアップデートと基本設定の見直し
8. 体験談:SoftEtherユーザーとして調べてみた話
私自身、SoftEther を使っているので、
「SSL-VPN 廃止が 2026 年 5 月? うち、やばいの?」と最初は焦りました。技術系の記事は、釣り気味にした方がアクセスは伸びるかもしれませんが、
ネットワークは誤解されやすく、“何がダメで、何が使えるのか” を正しく伝える方が大切だと思っています。結果として、私の環境(IPsec)は全く問題なしでした。
同じように SoftEther や IPsec を使っている方の不安が、少しでも解消できれば幸いです。

