📻 第5回:RSSとGoogle Reader──“情報を取りに行く”時代の終焉(Webの消えた技術たち)

webの仕組み

本シリーズ『Webの消えた技術たち』は、かつて一世を風靡したWeb技術の栄枯盛衰をたどり、現代のWeb設計に息づく思想を紐解く連載です。

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序章:まだ“情報を取りに行っていた”頃

今ではスマートフォンが自動でニュースを推薦してくれますが、2000年代前半は違いました。
自分でお気に入りのブログやニュースサイトを登録し、更新をチェックする──それが日常でした。
その中核にあったのがRSSGoogle Readerです。

RSSからDiscoverへ移り変わる構図
図:RSS(自分で選ぶ)からDiscover(AIが選ぶ)への進化

第1章:RSS──シンプルな革命

RSS(Really Simple Syndication)は、Web更新情報をXMLで配信する仕組み。 ブラウザやリーダーが自動取得して記事タイトルや要約を表示し、ユーザーは自分で購読先を選べました。

<item> <title>新しい記事タイトル</title> <link>https://example.com/post/</link> <description>概要テキスト...</description>
</item>

単純な技術でしたが、思想は革新的でした。 情報を中央集権ではなく分散的に届けるという考え方──それがRSSの真髄です。

RSSは“WebのAPI化”の始まりだった。

第2章:Google Reader──情報のハブとなった時代

2005年、GoogleはGoogle Readerをリリース。 RSSフィードを高速に同期し、未読管理、スター、共有などを実現しました。

  • 「購読するWeb」文化を世界に広めた
  • “自分のニュースを自分で組み立てる”自由を提供
  • RSS=Webの神経系とまで呼ばれた

Google Readerは単なるツールではなく、情報の民主化を象徴する存在でした。

第3章:静かな終焉──2013年3月13日

2013年、Googleは突如Readerの終了を発表。

“As usage has declined, we will retire Google Reader.”

  • ユーザー離れ(SNSやニュースアプリの台頭)
  • 広告収益化が難しい
  • “自分で選ぶ”より“自動で届く”を好む時代に

この瞬間、Webの主権が「人」から「アルゴリズム」に移った。

第4章:RSSが現代に残したDNA

RSS/Readerの要素現代に継承された形説明
購読・更新チェックPodcast / JSON Feed同じ仕組みで音声・APIへ拡張
記事共有・スターTwitter / Pocket / Notion“あとで読む”“共有”文化の礎
自動配信IFTTT / ZapierRSSによる連携が汎用自動化へ
推薦フィードGoogle Discover / NewsRSSの自動化=アルゴリズム化

RSSは終わったのではなく、“透明化”した。

KaTeX式で見る「情報主権の式」

$$ \text{Information Freedom} = \frac{\text{User Choice}}{\text{Algorithm Control}} $$

Google Reader終了後、アルゴリズムが選ぶ情報が主流となりました。 ユーザーの「選ぶ自由(User Choice)」が減るほど、情報の自由度は縮小します。

第5章:再評価と再生の兆し

近年、Fediverseや開発者界隈でRSSが再注目されています。

  • MastodonやMisskeyの個人タイムラインがRSSで購読可能
  • 静的ブログ生成(Hugo/Jekyll)でもRSS出力が標準
  • AI推薦に頼らず「自分で選ぶ情報」を重視する動き

それはまるで“Webの自由”をもう一度取り戻そうとする動きのようです。

RSSは自由のバックアップだ。

結論:“通知される世界”とどう向き合うか

RSSとGoogle Readerは、「自分で選ぶWeb」の象徴でした。 それが消えた今、私たちは問い直す必要があります。

AIが選ぶ情報の中で、あなたは何を“自分で選ぶ”のか。

Google Readerの終焉は、Webが“人間中心”から“アルゴリズム中心”に転換した年でもありました。 しかしRSSの思想──「自由に選び、自由に配信する」──はいまも静かに生き続けています。

— masaやん(hd0.biz)


次回予告:『Webの消えた技術たち #6』では、iモードとWAP──モバイルWebの胎動期を特集します。
ガラケー時代の“軽量HTML文化”が、レスポンシブデザインやPWAへどう繋がったのかを紐解きます。

👉 公開予定:2026年3月上旬

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